蒼城の小説連載ブログ@不定期

不定期でオリジナル小説の連載をしていきます。

ナイトウォーカー #1 不死なるもの

不死なるもの

常世のここは、とても生きにくくなった。
ほんの100年くらい前ならば、身分が不確かな人間でも居場所を得ることは簡単だった。

夜を歩けるナイトウォーカーなら1つくらい日常生活で使える特技がないと、本当にこの世の中、生き辛い!そう、私は心の中で文句をたれた。

でも、そんな文句も直ぐに胸の内から湧き上がる悲しみで消えてしまう。

「狩屋君、もう逝くの?」

私の若い手で握って「君付け」で呼びかけるには、老いてかさかさになってしまった手。最後まで顔を見たいと、畳の上に敷かれた布団の傍らに座って顔を見つめる。

狩屋君が何を言っているのかもうわからないが、何度も、何度も、口の端を震わせて、断続的な笑みを浮かべているのはわかった。

「もう、いいのよ、狩屋君。もういいの。
おやすみ。狩屋君」

手を握っていない方の手で、髪が殆どなくなった頭を撫でて、顔を寄せる。

年の差なんて関係ない、ましてや、肉体の年の差なんて。

「また大人になったら、探してね」

待っているから、と唇を合わせると、狩屋君がほっとした息を最後にして、
息を引き取った。

「まるで、人間ね」

ここにもう狩屋君がいないことを知っている私は、気持ちを切り替えようとしたが、
立ち上がることが出来なかった。

嗚呼、今だけは……嗚呼、今だけは

そう、感情に免罪符をつけて、彼のいなくなった体に縋り付いて目を閉じた。

まだ、暖かった。それが悲しかった。

彼の前では、別れている間は自分なりに楽しんでいるから平気なふりしていたけれど、
本当は寂しい。何度も、出会いと別れを繰り返しているが、一人ぼっちになるこの時間が寂しい。

不老不死である私は、常世で転生を繰り返す彼を待ち続ける日々。

この世はなんて生きにくくなった。

本当は、今、生まれた彼を探し出して、一緒に住みたい。

でも、そんなことをすれば、デイウォーカーの追ってが来る。

だから、合法的に彼と出会わなければならない。

 (永遠に一緒にいてね、永遠がないのは知っているけれど)